場面は電車の中、座席に空席はなく、一人の若者が我が者顔で座っていた。
立っているのは年老いた二人の紳士。
一人の老紳士は、ステッキを持って立っている。
と突然、その老紳士はよろけた振りをして若者にぶつかった。若者は「どうぞ」と言って、老紳士に席を譲った。
すると、老紳士は、もう一人の老紳士に向かって、「どうぞ、お座り下さい。」と言って、席を譲った。
このステッキを持った老紳士は、古田誠一郎(日本連盟先達)であった。
老人が老人を助ける正義の杖として”老善の杖”と皆から呼ばれるようになった。
山小屋などの人工的な施設に頼らずに、自分自身で用意した道具や食糧を使い、野外で宿泊すること。
ほぼ「キャンプ」と同じ意味。
ビバーク〈Bivouac:野宿、岩かげなどで夜を過ごすこと〉やキャンプ(野営)も含む広い意味をもつ。
要するに大は軍隊の夜営から、小はたった一人のごろ寝まで、非常に広い意味をもつ。 元の意味は、軍隊が野外に陣営を張ることであった。
自然破壊や環境を汚染しないように工夫したキャンプのこと。
自然にやさしいキャンプの意味。
「ローインパクト」は「○○にやさしい」という意味に使われている。
同義語に「エコキャンプ」がある。
自然愛護や環境保護を特に考慮したスカウト活動のこと。
ボーイスカウトのプログラムは野外活動を中心に展開されるが、自然を大切にすることを第一に考えて、スカウト活動を行おうとする考え方。
国際理解の親善と社会奉仕とを目的にした実業家、知識人の団体。
弁護士のハリスによって、1905年、アメリカのシカゴに創設され、ロータリー・インターナショナル〈Rotary International〉を構成して、その組織は世界的に広がっている。
会員が輪番に各自の事務所を会合場所として使ったのでこの名前がついた。
ロータリークラブがボーイスカウトの地域の育成に援助したり、育成団体になっていることがある。
18歳以上の青年男女を対象としたボーイスカウトの部門。
主として海洋訓練を実施するローバー隊をシーローバースカウト隊、主として航空訓練を実施するローバー隊をエアーローバースカウト隊と呼ぶ。
ローバースカウトは高度の野外活動、奉仕活動、自ら課題を設定して行う個人プロジェクト、ビーバー隊、カブ隊、ボーイ隊、ベンチャー隊の訓練指導に協力し、準指導者としての奉仕などが主なプログラムである。
ローバー〈Rover〉は、人生の旅人などという意味がある。
あるテーマのもとでローバーが話し合い、研究討議する集い。
(ローバーセミナー Rover Seminar も同義語)
ローバースカウトの手で運営管理される集会場のこと。
団内にローバー隊を組織することの困難な場合は、適当な指導者を得て、暫定的に団内に「ローバー班」を設けることができる。
ローバー隊の班長役。
ボーイスカウトを対象にした大会をジャンボリーと呼ぶのに対して、ベーデンパウエルは、ローバースカウトのための大会をローバームートと呼ぶことを提唱した。
略してムートという。
ムートとは、寄り合って議論することを意味するが、ベーデンパウエルは、ボーイスカウトの場合は集まって験ぐのが目的であるが、ローバーになると大人であるから議論をして研究をする必要があると考えた。
ローバースカウト活動のこと。
スカウト精神と、高度な野外活動を身につけ社会に対する奉仕の精神を身につけることによって、より大きな幸福を青年が手にしうるよう仕向けるものである。
ベーデンパウエルがローバースカウトの青年のために書いた「幸福になる道」を示す手引書。
「ローバーリング ツウ サクセス」はスカウティングの「奥伝書」であり「最後のメッセージ」の解説書であるという人もいる。
1922年に初版が刊行された。
この書物の中で特に注目に値する言葉として次のものがある。
「幸福への二つの歩み、それは・・・人生をゲームと考え、愛の心を人に施す」
「自分のカヌーは自分で漕げ」(Paddle your own canoe)
また、1922年3月23日、ベーデンパウエルが息子のピーターに書いた手紙を示すと。
「ピーターよ、君が16才になったときに読むように長い手紙を書いてある。 それはローバーリング ツウ サクセスである。 その本の中には16才の少年としての知らなくてはならないことを書いてある。もちろん他の少年達にも立派な人間になっていくために読んでもらいたい。人生の道しるべとして読むように青いてある。 私の父は3才の時に死んだので、父から学ぶことはできなかった。 君が16才になるときは、私は死んでいるであろう。たとえ死んだとしても、その本は君の良き父となるであろう。・・・・父より」
この手紙を読むと「ローバーリング ツウ サクセス」は、ベーデンパウエルが息子ピーターに残した遺書であり、翻訳者の中村知氏がスカウティングの「奥伝書」といわれるのも、うなづける。
中村知氏によれば「奥伝」が最高にして最終ではなく、その上に「秘伝」がある。
「秘伝」は「大自然」という本に書いてあり、すなわちウッドクラフトというものがそれである。それは宗教につながり、明確なる信仰がつかめたときに「皆伝」の域に達すると書かれている。
ローランド・フィリップスの作ったスカウトハウス。
イギリスの貴族の家に生まれたローランド・フィリップスは、オックスフォード大学を出ると、ロンドンのスラム街に飛びこみボーイスカウトを作り、隊長になって指導した。
このとき第1次大戦が勃発し、彼は従軍を志願した。フィリップスは自分の邸宅を売り払い、その代金を友人に託し、スラム街によい家を建ててあの子らを次々と教育してくれと頼んだ。彼は戦死したが、友人のリーダー達はスカウトハウス(名付けてローランドハウス)を建て、次々と子ども達を教育して立派な人物が生まれた。
ローランドハウスにはフィリップスの使っていたものが今でも展示され、彼が涙と共に子どもを訓戒した涙の跡のついた机もあるということである。
イギリスのフュージリア砲兵第9大隊、陸軍名誉大尉、ボーイスカウトロンドン東部および北東部コミッショナー兼ウエールス州副コミッショナー。
イギリス初期のボーイスカウトであり、ロンドンのイーストエンドというスラム街の恵まれない少年達のために献身的な奉仕をし、今日まで残るローランドハウスという記念館と共に、クリスチャンとして、またスカウトとして、輝く業績を残した。
今では絶版になっているが、名著「パトロールシステムおよび班長への手紙」〈The Patrol System a Patrol Leader〉を著し、1916年7月7日フランス戦線にて戦死。
「シミュレーション」に含まれる訓練手法、問題解決法。役割実演法。
ロールは「役割」、プレイは「演ずる」という意味で、「役割劇」とも訳され、二人以上の人が、ある問題や出来事について、その状況を知り、その状況内の人たちの役割を演出し、その演出を通して間逼や出来事を討議したり、問題解決の糸口を見いだす方法。
アメリカやヨーロッパで広く採用され、監督者訓練、セールスマン教育に応用されている。ボーイスカウトでも指導者の訓練法として利用されることがある。