ベーデンーパウエル卿
スカウト運動は、1907年7月29日~8月9日の間、イギリスのブラウンシー島に20人の少年を招待して行なわれた「実験キャンプ」からスタートしました(少年たちのキャンプは8月1日~8月8日)。 都会育ちの少年たちにとって、このキャンプは夢と冒険にみちた初めての体験でした。
ブラウンシー島
かねてから少年たちの教育問題に大きな関心をもち、このキャンプを主催したベーデンーパウエル卿(B-P卿)は、この体験をもとに翌年「スカウティング・フォア・ボーイズ」という本を著し、少年たちの旺盛な冒険心や好奇心をキャンプ生活や自然観察、グループでのゲームなどのなかで発揮させ、「遊び」をとおして少年たちに自立心や協調性、リーダ-シップを身につけさせ、社会に役立つ人材を育成することを目指しました。
SCOUTING for BOYSは
全6巻発行されました
日本へはどのように伝わってきたのでしょうか。
スカウティング・フォア・ボーイズ(SCOUTING FOR BOYS)が発行された翌年の1908年(明治41年)ロンドンで開かれた世界道徳会議に日本代表として出席した広島高等師範学校の北条時敬校長はスカウト教育について、文部大臣より調査を命ぜられて渡欧しました。
帰国した北条時敬校長が自分の付属中学校の校外活動にスカウト教育の手法を取り入れたのが、日本におけるスカウト運動の最初といわれています。
1912年(明治45年)4月にベーデン・パウエルが世界一周の途中に日本を訪れたことで、日本の各地に「少年団」という名前のボーイスカウト組織が発足し、1916年(大正5年)には滋賀県琵琶湖畔の雄松岬で日本最初の「スカウトキャンプ」が行われました。
1922年(大正11年)4月13日には第一回全国少年団大会が静岡市立城内小学校(当時は城内尋常高等小学校)で開催され、全国20道府県から集まった少年団指導者の代表123人が参加して、ボーイスカウト日本連盟の前進である「少年団日本連盟」が生まれ、ボーイスカウト国際連盟に加盟登録をして世界中のボーイスカウトの仲間入りをしました。
その後、第二次世界大戦で中断された時期はありますが、少年団日本連盟は、1948年(昭和23年)、ボーイスカウト日本連盟に改め、2022年11月に創立100周年記念事業を行いました。
左画像:静岡市立城内小学校にある「スカウトの像」
昭和47年に、日本でのスカウト運動50年を記念して「連盟誕生の地」に建てられました。
スカウトの組織は「スカウトが主役」です。
「加盟団」は「県連盟」が設けた「地区」に属します。
「県連盟」は「日本連盟」か設定した「ブロック」に属します。
「世界機構」の「地域」には、それぞれ「地域事務局」があります。
スカウト運動には次のような特徴が上げられます。
ちかいとおきての実践を基盤とし、ベーデン・パウエルの提唱する班制教育と、各種の進歩制度と野外活動を、幼年期より青年期にわたる各年齢層に適応するように、ビーバースカウト、カブスカウト、ボーイスカウト、ベンチャースカウト、およびローバースカウトに分け、成人指導者の協力によってそれぞれに即し、しかも一貫したプログラムに基づいて教育することを基本方針とする。
「ちかい」と「おきて」という共通の行動規範を実践することによって個人の義務を果たすこと。
また、この「ちかいとおきて」は、スカウト運動の原理である「神(仏)へのつとめ」、「他人へのつとめ」「自分へのつとめ」を反映しています。
成人指導者の指導下での活動、年齢に応じた責任を見出し、それを引き受け責任感を持つこと、人格の発展を目指した自己管理のための訓練、及び、適性、自信、信頼性、協調性と指導性を兼ね備えた能力を修得するために、小グループの一員になります。
スカウトの興味を基盤とした累進的なさまざまなプログラムであり、それはゲームや役に立つ技能や地域社会への奉仕活動を含み、なおかつ自然とふれあえる屋外での活動です。(進歩制度と野外活動)
スカウトも指導者も自分の意志により参加します。
地域・社会・国などに建設的な貢献を積極的に行うことは奨励されますが、特定の政党及び政治団体には関係しません。
ボーイスカウトでは、いつでも入団を受け付けています。お近くで活動している「団」に直接、ご連絡いただき見学や説明を受けていただくこととなりますが、連絡先不明の場合は「県連事務局」にお問合せください。
ビーバースカウト |
小学1年生から小学2年生 ※小学校入学前の1月から 仮入隊できます。 |
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カブスカウト | 小学3年生から小学5年生 |
ボーイスカウト | 小学6年生から中学3年生 |
ベンチャースカウト |
中学3年生9月から 18歳に達する日以後の 最初の3/31迄の青年 |
ローバースカウト | 18歳以上25歳以下の青年 |
ビーバースカウト隊は小学校就学前(幼稚園年長組の1月)から小学2年生までのスカウトで活動します。
その基本は“仲間や地域の人々とのふれあいに慣れる”ことであり、さらに“自然と親しみ、元気に遊ぶ”ことにおかれています。
小学校低学年までの児童の特質を十分に踏まえて、その成長や、この年代に応じた社会性を高めるために、次のような3つのことに“ねらい”をおいています。
カブスカウトは戸外を中心に活動します。
カブスカウト隊は小学校3年生以降参加し、5年生まで活動を続けることができます。
カブスカウトでは、戸外を中心とした組や隊の活動に参加することによって、よい社会人としての基本を修得することにおかれています。
カブスカウトの活動は3年間にわたるプログラムです。
カブスカウトの活動の目的は、
このような活動を通して、フェアプレイ、正義、忍耐、誠実、友愛、協調、責任などを学び、自立心や創造力を養います。
カブスカウトは年齢(学年)が上がるにつれて、「うさぎ」→「しか」→「くま」と進級して、その間に多くの技能を身につけ、ボーイスカウト隊へ上進します。
ボーイスカウト隊は小学校6年生から中学校3年生までのスカウトで活動します。 その基本は“班及び隊の活動に参加”することによって自分の責務を果たし、野外生活を主とした“体験学習を通してよき社会人たる資質の向上を図る”ことにおかれています。
ボーイスカウトになって最初に取り組む「初級章課目」、初級スカウトになってから2級スカウトになるまでの「2級章課目」、同様に「1級章課目」、さらに「菊章課目」の4段階に分かれ、段階的に高度になっていく必修課目で“能力と努力に応じた進歩”を遂げることになり、達成すると胸にバッジを付けます。
『進級課目』では各段階で“どのような成長を目指すか”を示す目標が設定されています。
ベンチャースカウトは自分で考え、自分で行動します。
ベンチャースカウトの活動期間は、中学3年9月から18歳未満、高校時代を中心として約3年間の期間を対象としています。
ベンチャースカウトでは 『自分で考え、自分で行動し、自らに責任を持つことのできるスカウト』を目指します。 また、「班」という固定された小グループは編成せず、スカウトが課題に兆戦するための『活動チーム』を編成します。
ベンチャースカウティングの目標は、「社会に役立つ技術・国際感覚を身に付け、自分で考え、自分で行動する青年」を育成することです。 それを実現するために、スカウト自身が「ちかいとおきての実践を基にして、幅広い分野にわたる活動を自らが設定し、計画し、実施し、評価・反省し、次のプロジェクトへ挑戦していく」プログラムを展開します。
18歳に達したベンチャースカウトは、ローバースカウトになることができます。
(18歳に達する日以後の最初の3/31まではベンチャースカウトとして活動を継続することもできますが、両方の隊で活動することはできません。)
18歳に達すると、ローバースカウト隊で活動することができます。
ローバースカウト隊では、自ら規則(自治憲章)を設定し、隊(クルーまたはグループ)の型を決め、自治原則により自らが実施する自己研鑽と、
隊(クルーまたはグループ)が行う奉仕活動、社交活動及びその他のプログラム活動等によって活動が行われます。
世界中で5700万人以上がスカウト運動に参加しています。
スカウト運動の目的・教育システムは世界共通で、「ボーイスカウト」または単に「スカウト」と世界中で呼ばれています。
1920年には、国際事務局がロンドンに設置され、以来、人種・宗教・言語など、あらゆる違いを越えて、世界中の青少年の友愛を深めることを目指したスカウト運動が世界中で積極的に展開されています。
ボーイスカウトの世界組織である「世界スカウト機構(WOSM)」には、174を超える国と地域のスカウト組織が加盟しています。